Blue Style Online
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注文住宅のプロが「理想の住宅を建てる方法」「知っておきたいポイント」など、お役立ち情報をお届けします。
家創りにおいて、お客様の好みや理想を反映しやすいデザインや間取りに比べると、断熱性能を考えることは少し難しいかもしれません。
しかし、2025年から新築される全ての建物に省エネ基準への適合が義務付けられることが決まりました。このため、これからの家創りでは、断熱性能を左右する「断熱材」が非常に重要なポイントとなります。
さらに、断熱材は室内環境を快適にするだけではなく、断熱等級が高いことで年間の光熱費の削減にも繋がるなど、さまざまな嬉しいメリットがあります。
この機会に家創りにおける、断熱材について考えていきましょう。
今回は断熱材の種類を大きく3つに分け、それぞれの特徴、メリットやデメリットをご紹介していきます。
加えて、低炭素化社会の実現を進める上で重要な、家創りのための断熱材製造時のエネルギー量についても比べていきましょう。
発泡プラスチック系断熱材は、プラスチックを発泡させることで細かい気泡の中に空気を閉じ込めた断熱材です。
閉じ込めた気泡の大きさや細かさによって、断熱性が変化します。
よく使われる材料には、押出発泡ポリスチレン、ウレタンフォーム、ビーズ法ポリスチレンなどがあります。
また、発泡プラスチック系断熱材の製造時エネルギーはポリスチレンフォームで695kWh/㎥、ウレタンフォームは1585kWh/㎥ほどで、ほかの断熱材と比べると製造時の消費エネルギーが高い傾向にあります。
発泡プラスチック系断熱材は全体的な特徴として、「軽さ・耐水性」という点が挙げられます。
軽いことで施工や加工が容易になり、耐水性があることで家の大敵でもある結露の心配がなくなります。
さらに、押出発泡ポリスチレンには、シックハウス症候群の原因になるホルムアルデヒドが含まれていません。
ウレタンフォームは弾力性もあり、断熱性の高さや省エネ効果に優れているといったメリットがあります。
発泡プラスチック系断熱材のデメリットは、「熱に弱い」ことです。
プラスチック材料の多くは加熱により軟化する熱可塑性樹脂であり、加工や成形が容易というメリットがある一方で、火事などが発生した際に断熱材が溶けて縮んでしまい、性能が落ちてしまいます。
また、ウレタンフォームの場合、燃えると有毒ガスであるシアン化水素が発生するというデメリットもあります。
無機質系断熱材はグラスウールやロックウールなどの鉱物を原料とした断熱材です。
素材を繊維状や綿状にし、細かい繊維の隙間に空気を閉じ込めます。
発泡プラスチック断熱材の泡と同じように、繊維の大きさ、密度によって断熱性が変化します。
また、グラスウールやロックウールの製造時エネルギーは100~700kWh/㎥ほどで、石油から製造する発泡プラスチック系断熱材のウレタンフォーム(1585kWh/㎥)と比べて省エネルギー性に優れています。
グラスウールは「劣化しにくい・手頃で安価」という特徴が挙げられます。
無機質系断熱材のグラスウールは、高い性能と手頃で安価なことから多く普及しています。
ガラス繊維で作られた断熱材のため、家の大敵でもあるシロアリなどの害虫被害に強く、不燃、耐火性にも優れています。万が一燃えてしまっても、有毒ガスを発生させないというメリットがあります。
グラスウールのデメリットは「耐水性が低い」ことです。
グラスウールは、繊維の中に空気を含むことで熱を伝わりにくくする性質を持つ断熱材です。しかし、水に濡れたり湿気が発生したりすると、空気の代わりに水分を含んでしまい断熱性能が低下します。
また、一度水に濡れてしまうと乾いても断熱性能が戻ることはなく、結露による水分を防ぐ防湿層が設けられるように施工することが大切です。
断熱効果を一定に保つためには、隙間なく充填することや、厚みの均一さも非常に重要なため施工技術が求められます。
天然素材系断熱材には、羊毛断熱材や炭化コルク、セルロースファイバーの断熱材があります。
羊毛やコルクを製造する際の端材や、古紙などを原料にした断熱材です。
天然素材系断熱材は全体的な特徴として、「環境に優しい」という点が挙げられます。
炭化コルクの断熱材は、特に1,000〜2,000ヘルツの音や衝撃を吸収する能力が高いです。このため、静かな室内環境を実現することができます。さらに、コルクの素材となる樫の木は再生力が非常に強く、約9年で樹皮が再生する特徴があります。
羊毛の断熱材は調湿性に優れており、壁内結露を防ぎます。また、繊維の中に多くの窒素や水分を含み発火温度は570〜600℃と非常に高いため、難燃繊維としても認められています。
羊毛断熱材の製造時エネルギーは30kWh/㎥ほどで、ウレタンフォーム(1585kWh/㎥)やグラスウール(100〜700kWh/㎥)と比べて製造時エネルギーがとても少なく、持続可能な特性と省エネルギーで環境への負担を軽減します。
どの素材も天然素材であり、環境に非常に優しいというメリットがあります。
天然素材系断熱材のデメリットは「割高になってしまう・対応業者が少ない」ことです。
コルクの素材である樫の木は、南フランスやイタリア、スペインなどの地中海性気候に限られて生息しています。
羊毛についても、日本では羊毛産業が定着していないため原料のほとんどを海外からの輸入に頼っているのが現状です。
そのため、天然素材系断熱材は他の断熱素材に比べて割高になってしまいます。
また、断熱材のなかではまだ新しい素材のため、施工可能な業者が少なく、探すのが難しいというデメリットもあります。
セルロースファイバーは「人や環境に優しい・断熱効果・調湿効果・吸音効果も高い」という特徴が挙げられます。
木質系断熱材のセルロースファイバーは、新聞紙をリサイクルしてできたパルプ(天然繊維)で作られる環境配慮型断熱材で、アメリカ国内では最も使用されています。
セルロースファイバーは断熱性能に加えて、調湿効果による結露やカビの予防、吸音効果による高い防音性も実現するというメリットがあります。
さらに、セルロースファイバー製造時のエネルギー消費量は14kWh/㎥ほどです。
これは、ここまでご紹介したガラスを原材料にしたグラスウール(100~700kWh/㎥)や、石油から製造する発泡プラスチック系断熱材(695~1585kWh/㎥)、同じ天然素材系の羊毛断熱材(30kWh/㎥)よりもさらに少なく、高い断熱効果による省エネルギー性の向上だけでなく、製造時のCO₂排出量も削減できる、とても優れた断熱材であることが分かります。
セルロースファイバーのデメリットは「割高になってしまう・沈下の可能性がある」ことです。
セルロースファイバーの断熱施工は他の断熱材とは異なり、充填に専用機械が必要で、専門業者しか施工することができません。セルロースファイバーを標準仕様としている会社は少ないため割高になってしまいます。
また、セルロースファイバーはきちんと施工しないと素材の重さで沈下してしまい、結果的に壁の中に隙間が起きてしまう可能性があります。グラスウール同様に施工技術が求められる断熱材です。
ブルースタイルの注文住宅「FOREST」では、セルロースファイバーの断熱材が標準仕様です。
セルロースファイバーは木質繊維が主原料。つまり、その元は天然木=自然素材ということになります。その優れた調湿性で内部結露を防ぎ、木の構造を長持ちさせることができます。
自然素材の家や木造の家との相性が非常に良いことは言うまでもありません。
これにより、夏涼しく冬暖かい快適な暮らしはもちろんのこと、先ほどご紹介したセルロースファイバーのメリット「調湿効果による結露やカビの予防、吸音効果による高い防音性」も備えた家創りを叶えます。
セルロースファイバーのデメリットでもある沈下についても、ブルースタイルでは専門の認定資格を持った断熱施工技術者が、高い技術で丁寧に、隙間なくセルロースを吹込むことで断熱性能を最大限に発揮する「デコスドライ工法」を採用しています。
さらに、デコスドライ工法では木造住宅での内部結露被害に対して20年という長期の保証を行っています。
デコスドライ工法についてはこちら
セルロースファイバーによる断熱効果を実際に体験した方々の声や、自然素材や断熱にこだわって家を建てられたお客様の感想を一部ご紹介します。
ブルースタイルでは、無垢材や自然素材を使用した家創りの完成見学会を随時開催、
セルロースファイバー標準仕様の断熱性の高さ、自然素材が持つ本来の香りや感触、居心地の良さ、美しさをご体感いただけますのでお気軽にお問い合わせください。
完成体験見学会・イベントのお問い合わせはこちら
家創りにおいて、「断熱性」は家やそこに住む皆様の健康、快適な暮らしに直結する大切なポイントです。
明治14年から、注文住宅を創り続けている工務店の視点から、本当に後悔しない家創りのポイントを今後もご紹介していきます。
家創りに関する断熱材のこと、難しい専門用語、家創りの準備やお金のこと、お悩みの際は、お気軽にブルースタイルへご相談ください。
皆様の不安や悩みを解消し、理想の家創りを実現できるよう、お手伝いさせていただきます。
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