
設計・工務ブログ
こんにちは
Blue Style 設計の林です。
本日は、東京都江戸川区の葛西臨海公園についてご紹介していきます。
葛西臨海公園は、東京駅から京葉線で舞浜駅の一つ手前の駅にあります。
葛西臨海公園駅を降りると、目の前には大きな噴水と長い道が続きます。
そこをまっすぐ進んでいくと、奥の方に何やら大きな建物が・・・
奥に見えたのは、こちらのクリスタルビュー(設計:谷口吉生さん)という建物になります。
クリスタルビューは、公園の芝生広場からほぼ地続きの高さで接続されています。
まるで、静かに公園を見守りつつ、風景に溶け込んでいるような建築です。
谷口さんの建築には、以前に紹介させていただいたモダニズム建築、精密なディテールと妥協のない寸法感覚、そして自然との一体化という特徴が見られます。
なかでもこのクリスタルビューは、まさに彼の建築思想の集大成と感じました。
写真を見ていただくと、建物と地面が緩やかに繋がっているように見えませんか?
入口に段差や階段といった境界感がなく、気づいたら...という風に流れるように建物へ導かれています。
これは、谷口さんが得意とする【風景と建築を切らずに接続する】ための設計操作だそうです。
展望スペースからは、ディズニーや東京湾を一望できました。
こちらは、葛西臨海水族園になります。
世界初の本格的なマグロの群泳展示で非常に有名ですね。
水族園も谷口さんの設計であり、アプローチから自然と建築の調和を感じながら進むよう設計されています。
建物の周りに広がる水盤は、まるでガラスドームが水面に浮かんでいるようにも見えました。
この演出により、さらに自然との一体化を感じられます。
建築が風景の中で風景を演出している、という点がとても面白いです。
中へ入ると、エスカレーターで下へ降ります。
この時に、外の光がフェードアウトしていき、明るい公園から、静かで水音が響いてきます。
まるで、海のなかへ沈んでいく感覚でした。
通常の水族館は、【建物は箱・展示は中】という風に建築と展示が分離してある構成が多いです。
ですが。葛西臨海水族園は、建物自体が、先ほどのエスカレーターのように展示体験の一部になっています。
そして、こういった建築的仕掛けは何点かあります。
・エスカレーターを降りた瞬間、やや天井が低くなっています。これは、心理的に【潜る】という感覚を強めるため。
・天井を下げて視界を抑え、水槽に集中する構成になっている。
・円形の回遊動線で、人が自然に流れるように誘導されている。
・内部のライティングが水中感を演出している。
・展示ルートが単調にならないように、エリアごとのスケールや明るさ、音響が微妙に変化している。例えば、外洋の海では、スケールを大きく、深海では、天井を低く暗くするように・・・
・床や壁の仕上げ材をエリアによって、使い分けている。ザラっとしたコンクリート調の仕上げにし、海底を表現している。
などなど・・・
行く機会があれば、ぜひそう言った点も気にして見てみると、面白さが倍になりますよ☺️
部屋によってクロスの質感を変えたり、ライティングを意識したり、庭とお家との調和を意識してみたり、空間の繋ぎなど・・・住宅にも応用できそうですね💭
ニモもいました✨